第一話の第一部 前編
ぎんむち家 前編
やぁ。吾はエヌ。木を担当するものだ。『世界大森(スヴァンウェイ)』には木がたくさんある。キミの世界も、世界大森(スヴァンウェイ)の一本の木の枝にすぎない。キミに語りたい、吾が担当する木にあったストーリーを。一つの世界が滅んで蘇った物語。
☀
「ダリア」
一人の老婆が席に座っていた。
「ダリア、きいてる?」
老婆は、隣に立っていた一人の少女のおでこをふわりっとたたいた。
「き…きいてる。」と少女が悪夢から突然覚めたように言った。
部屋は暗く、何本かのロウソクが部屋をかすかに照らしていた。
「今日、10年になるのよ。わかるの?」
母の思い出がダリアの頭に流れ込んだ。
「そうだね。」
老婆はテーブルの上から果物を取った。すると突然、咳がはじまる。
「おばあさん、エンヴィア、大丈夫?」とダリアは慌てて言った。
ぎんむちエンヴィアは数秒息を整えた。そして、再び話し始めた。
「ユニバが去ってから10年......」
お母さんどこにいるんだろうなとダリアは頭をあげ思った。
老婆が席を立ち、ダリアもすぐそれに続いた。エンヴィアはダリアに寄りかかり、外へと続く扉を指差した。そして二人は扉に向かって歩き出した。
二人は裏庭の花や木々の間を長い間歩いた。赤、黄、青、ピンク、あらゆる色の花が周りにあった。複数の色を持つ花もあれば、時折、色が変えていく花もある。地面に咲いている花もあれば、空中を舞っている花もある。立ち止まっていたものもあれば、動き回っていたものもある。静かなものもあれば、口笛のようなものもある。無臭な花があれば、独特の香りを放っている花もある。世界各地から集められた珍しい花々が咲き乱れる、美しい裏庭でした。しかし、二人の女性は、毎日見ている風景なので、気にすることはなかった。
老婆は、麦に囲まれた小さなポンドの前に置かれたベンチを指差した。二人はそこに移動し、エンヴィアはベンチに座った。
「必ず帰ってくるんでしょう?私の娘であるユニバを見つけると約束してください。」
ダリアは厳粛に頷いた。彼女の母親は今日から10年前、世界を牛耳る大族(クラン)のひとつに入るため、自分のを去った。母は必ず戻ってくると約束していたが、9年以上もの間、手紙さえも届かなかった。
エンビアは一人立ち上がり、ゆっくりと小麦を手に取った。ポケットから小さな袋を取り出し、その中に一握りの穀物を詰め込んで、ダリアに手渡した。
ダリアは戸惑いながらおばあちゃんを見た。
"これを持っていきなさい、ダリア。どんなことがあっても、この袋の中の穀物をなくさないでね。いつか必ず役に立つ日が来るから。」
ダリアはポーチを受け取った。
「手のひらに1粒取り、数秒間目を閉じてください。」
ダリアは言われたとおりにした。しかし、目を開けると、そこにはもうおばあちゃんの姿はありませんでした。まったく別の場所に飛ばされてしまったのだ。ダリアはすっかり混乱してしまったが、きっとそのために自分がここに送られたのだと思い、母親を探す決意を更に固めた。

